~隼人side~



俺は久し振りに実家へ帰った。



「おかえりなさいませ。隼人おぼっちゃま。」



出迎えてくれる使用人達。



「お父様がお待ちでございます・・・。」



「あぁ。」



そう言われると、俺は父親のいる書斎まで足を運んだ。



コンコン♪



「入れ。」



「お父様、何か及びでしょうか?」



ドアを開けると、沢山の本棚に囲まれた机。



そして、その椅子に腰掛けている父。



窓を向いていた父は、椅子をくるりと回し俺の方を見た。



「会社の方は、頑張っているようだな。」



親父は俺の目を真っ直ぐ見つめる。



「はい。」



「それは、よかった。ところで・・・


 お前、もうそろそろ、蘭子さんと結婚しなさい。」



「えっ・・・。」



「お前ももう30だ。この会社を少しずつ任せていきたいと思っている。」



「はい・・・。」



「それには、やっぱり身を固めて、仕事に集中出来るようにして欲しい。」



親父は、たんたんと当たり前の事のようにして話す。



この話は前々から知っていた。



しかし今の俺には綾乃がいる。



これは、話す良い機会だ。



「お父様!俺は、もう心に決めた人がいるんです!だから蘭子さんとは・・・!」



「だからなんだね?3月14日空けときなさい。先方と食事する事になっているから。」



そう言って、父親はさっさと部屋を出て行ってしまった。




~隼人side終わり~