「光君さー…その……好きな人いるん…?」
途切れ途切れに聞こえて来た言葉に
何も考えず、無意識に頭に《空》が浮かんだ…
『な、なんで?』
「もしいないなら…あたしと付き合ってくれん…?」
つ、つ、付き合う!!??
『えっ…?』
「最初、会った時から気になってたの…。あたしじゃ…駄目かな…?」
静かな空間に、沙耶の声が響き
外灯が、薄暗くなった辺りを照らし
真っ直ぐ俺を見る沙耶が綺麗に見えた…
好きな人に『好き』って伝えられる。
そんなの普通のことやのに
貴史と言い、沙耶と言い
羨ましくてたまんねえよ…。
言い方…悪いかもしれないけど
利用って言うたら変やけど…
このまま沙耶と付き合ったら
空のこと忘れられるかも?
沙耶と一緒におったら、そりゃ…
情も出てくるやろうし。
そう考えた。
(俺は、それでいいのか…?)
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