「だって…欲しかってんもん…。」
『はぁー…。知らんがな。勝手に人の名前で借金作るなや!どうやって払うんだよ?お前、払えんのか?ってか、これだけ?隠してもバレんねんから全部言えよ!』
「後もう一社…。大丈夫!払えるよ♪」
なんて軽く言うもんやから…さすがに俺も頭に来て、手を上げちゃったんや…
バチン!!!
乾いた部屋に良く響く音は、俺を更に苛立たせる。
「いったー…叩かなくてもいいやん!!」
そう言って、涙目で俺を睨んで来る。
『俺も人間やから我慢の限界があんだよ。どんだけ馬鹿にしたら気が済むん?お前のおかげで、人生めちゃくちゃじゃ!!離婚や!!』
ここに来て、初めて口にした“離婚”って言葉
「たかが借金で離婚って…」
『たかが?浮気もしてるがな。俺と別れて他の男んとこに行けよ!ってか、頼むから行ってくれ』
「嫌や……」
ぬけぬけと“嫌”って言える茜の神経が
俺には分からない…。
やけど、少し冷静になって茜の話を聞いてみると…
借金を作った理由は
他の男と会う時に、茜が全部お金を出しているらしく…
挙げ句、ブランド品まで買うて…手の付けようがない程の馬鹿女。
俺が頑張って稼いだ金が、他の男とのデート費用って…
馬鹿にしてるとしか思われへん!!
せめて、隠してくれたり誤魔化してくれたら
まだ気分的にマシやのに…
「嘘つきたくない」とか言って、正直に話すから
余計に腹が立つ…。
『頼むから…離婚して下さい…』
床スレスレまで頭をつけ、土下座までする
何とも情けない姿…。
「嫌やって!!」
『俺も嫌や。明日、お前の親に連絡すっから』
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