おれの恋



それから、茜とぎこちないまま。ってか
茜は普通やけど、知らん内に俺が避けてたのかも。



最初の1ヶ月くらいは、反省したのか気を使ったのか分からないけど、家にいる事が多かったみたい。

でも…人間、そんな簡単に変わる物じゃなくて
俺もそうやけど、茜も変わらない




次第に、俺がいても平気で
目の前で男と電話やメールをする始末。

ある意味…尊敬する。





〈早く会いたい〉


受話器から微かに漏れる、相手の声に不愉快になりながら


「じゃあ、明後日ね♪」


なんて、仮にも旦那の前で言う茜を無視するだけの俺。




『いっそ…他の男んとこに行ってくれよ。』

聞こえるか聞こえないか位の声で
思わず本音が零れた。



「何か言った?」


電話よりもワントーン下がった声で聞いてくる茜に


『別に?俺の事は気にしやんと、お好きにして下さいよ』



そもそも、この結婚自体が間違いやったんや。

空と言う交換条件を出され…それに乗ったものの

その“空”がおらんのやから、何の意味もない。無意味



「やきもち?」

そう言ってニヤニヤ笑う茜



『気持ち悪いこと言うの止めてくれます?鳥肌立つ』


腕を見たら、本当に鳥肌が立っていた。



「ねえ…仲良くしようよ…?」


『それ、浮気してる人間の言うセリフ?』


ソファーに腰をかける俺の前に、ゆっくりと来てしゃがむ茜…

そして、俺の腰に腕を回してくる。



『やりたいなら他の男とやれよ。』

そう言い捨てる俺に


「つまんない男」って見下す様に言う茜。


これが、一応は夫婦なんやから笑えるやろ?






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