その日は、茜と同じ部屋にいるのが嫌で
久しぶりに空の部屋に入ってみた。
ソファー以外、何もないのに…空の匂いがする…
電気も付けず、月明かりが差し込むだけの真っ暗な部屋で
ソファーに腰をかけ、目をつぶると…
いつでも瞼の裏に空が浮かんで来る
『はぁー…、会いたいな…』
今すぐ会いたい…
声が聞けるだけでも良い!
『あはは……。はぁー…』
前に進むって、どう言う事なんやろ?
てか…どうやったら前に進めるんやろ?
空を忘れる事が、前に進む事?
それやったら…今のままで良いや。
大袈裟かもしれんけど
空を諦める事は…
生きてる事を諦めるのと
同じ位の事やから…。
何かするとかじゃないけど
俺は最後まで諦めん!
てか、諦めたくない。
『ここまで、しつこいのも…問題やでなー…。笑』
独り言の数が増え、そんな自分の姿を想像したら笑えて来る。
勢い良くソファーに倒れ込むと、直ぐに睡魔が襲ってきて…そのまま眠りに落ちた
願望が強すぎたのか、妄想なのか…細かい所は置いといて、空の夢を見た。
少し大人っぽくなった空は、会わない間に伸びた髪をクルクルと触りながら「幸せだよ」って
今まで見た事がない位の笑顔を向けて来た。
……もう
誰でもいいから
俺の重症の脳内をどうにかしてくれー…。
.

