隣で小さく丸まって眠る空を起こさない様に
そっと抱き締める。
悲しくなんてないのに、幸せなはずなのに
何でこんなにも切ないんやろ…?
「んー…光…?」
『ごめん…起こした?』
「ねえ…」
『んー?』
この後、空の言った言葉を聞いて
一番最初に思った事は…
"やっぱり…" やった…。
「あたし…ばあちゃんの所に帰るわ…」
何となく…そんな気がしてた。
『嫌や。』
やっと、俺の思いが通じたと思ったのに…
なんて…思うのは、俺のワガママなんやか?
「あたし…前に進みたいの。だけど、光が近くにいたら無理…。それに、光と茜が仲良くしてるの見るのも嫌や。やから、帰る…」
『嫌や!!俺の側にいてよ…』
「辛い思いさせてゴメン…。光?強くなって!あたしが心配しなくて済むくらい、強くなって!」
その後も、女々しくワガママを言って引き止める俺に
首を横に振るだけの空…
空の意志は固い。きっと、どれだけ言っても
「うん」って言わない事くらい分かってる。
今まで、物分かりの良いフリをして来た。
やけど…今は、分かりたくないんや…
『直ぐじゃなくても良いやん…』
「直ぐじゃないと駄目なの。」
そう言った、空の顔は真剣そのもので
あぁ…もう、いくら言ってもアカンのやって思った。
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