『貸して。』
「え?うん…」
空から指輪を受け取り、空の左手の薬指に指輪をはめる。
『は…恥ずかしいんやけど!!』
自分でも分かる位に、顔が熱い…。
「ヤバい!泣きそう。」
そう言って、両手で顔を隠す空の手をどけると
泣きそうじゃなくて、泣いている…。
『え…なんで?俺、何かした…?』
こう言った俺に
「女心の分からん男やなーー。」
なんて、難しい事を言うから
大袈裟に頭を掻いた
いきなり立ち上がると、ライトの下に指輪をかざす空。
「似合う?」
『うん。』
飾りっ気はないけど、綺麗に手入れされた爪も
細くスラッと伸びた指も、透き通る様な色白の肌も
そこにはめてある真新しい指輪も
すべてが…俺の目に、空を綺麗に映し出してくれる要素。
恥ずかしくて、本人には言われへんけど…。
『あ…。今日はアノ指輪してないんや?』
「アノ指輪? あぁ…健也がくれた奴?貴史が嫌がるから…」
そう言って、悲しそうに笑うから
心臓が…一瞬だけ "チクッ" と痛くなった。
「光…?」
『ん?』
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