「山!!」
『山!?そんな所で何してるん?一人?』
一人じゃない事くらい分かってるけど。
もしかしたらって思っただけ…
「貴史と一緒♪車で爆睡してるけど(笑)」
やっぱりな…。それ以外ないしな。
『また…貴史かよ…』
食事会の日、時間まで一緒にいたのも
結婚式のドレスを買いに行った時も
式中に空を連れ出したのも
みんな…貴史…。
確かに、貴史に頼んだけど
なんで…貴史なんや?
『他の奴なんて…見るなよ…』
酔ってて、思わず口から零れた。
素面じゃ絶対に言えない言葉…
だけど、空は…こう言った俺に
「それが、結婚した人の台詞?クスクス」
って、言うたんや。
間違いないけど…最低な事を言ってるのも分かってるけど
でも、空に言われると…ほんまに凹む…。
『空……「空じゃない。姉ちゃんやろ?」
言葉を遮られた事より
空の言った事が、一番のダメージ…
"姉ちゃん…"
『空のアホ!!もう知らん。』
ピッ…
一方的に電話を切り、無造作に携帯をポケットにしまう
こんなん…ただの八つ当たり。
そんな事、言われなくても俺が一番よく分かってる…
やけど、空以外に俺の気持ちを出す所が
見当たらないんや…。
『しょーもな…。』
俺自身ー…。
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