俺の好きな…綺麗に伸びた髪を揺らし、小さくなって行く空。
言いたい事が沢山あるのに…途中まで出かかって、再び飲み込んだ。
追いかけたい
追いかけたい
追いかけたい…
「光さん!!」
後ろから、俺を呼ぶ声が聞こえて
振り返ると、そこには茜が立っていた。
『さっきは…ほんまにごめん…』
押しのけた事にごめん?
それとも、空がした事にごめん?
自分の言ってる事や、してる事に責任も持てない俺が
他人を幸せに出来るんだろうか?
今更になって、改めて自分の不甲斐なさに気付いた。
「大丈夫ですよ♪それより行きましょ!!」
そう言って、俺の目の前に手を差し出して来た
『ん?』
「えっと…、手…繋ぎたいなって♪アカン…?」
そんな事かー…。
『喜んで!』
無理矢理、精一杯の笑顔を茜に向けると
茜も笑顔で返して来て
張り詰めていた気持ちが、少しだけ緩んだ気がした。
空の、細くて長い指と違って
茜の手は、モロに女の子!って感じで小さくて
これから先、俺が繋いで行くのは…この手なんやって思ったら
目頭が熱くなった。
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