おれの恋



「嫌や!!」


俺の耳にまでハッキリと届いた、空の声。


「空!静かにしなさい!」

隣に座るオカンが、空の腕を引っ張って
無理矢理、座らせ様としている…



「嫌やって言うとるやろ!!」


みんなの姿勢が、空の方へ向き…



驚いた顔をして、口が空いたまま停止する茜と、茜の両親に

好奇の目で空を見る参列者に

心配そうに空を見る大和に

立ち上がって、空の元へ行く貴史。



一瞬にして冷めた空気より

貴史と外へ出て行った空の方が気になって仕方ない…。



ざわついた空間も…司会の人が上手く誤魔化してくれて、そのまま続行するものの…みんな、何処かぎこちない。




お色直しになり、外へ出た瞬間…走り出した。

もちろん、空を探す為に…。



ほんまは…そんな時間もないし、茜を押しのけて走り出した事は…大問題やと思う。


やけど…


お説教は後で、好きなだけ聞いてやるから
少しだけでいいから時間をくれ。







『空!!』


近くの長椅子に座る、空と貴史を見つけた。


「光!出て来て平気なのかよ!?」


貴史の言葉に黙って頷き、空の前にかがんだ



『空…?どうしたん?何かあったん?」


「ゴメンナサイ。薬飲んで、お酒飲んだら…」


そう言って、泣きながらポーチの中を見せて来た。








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