コンコン…
「そろそろ、お時間です。」
『はい…』
『はぁー…』
ソワソワして落ち着かない。
緊張してるみたいや…
ーー………
俺の、目の前に現れた茜は
真っ白のドレスを身にまとい、綺麗に化粧された頬を赤く染めていた。
「緊張するね…」
そう言った茜は、ほんまに緊張しているのか
俺の腕にかけた手が震えてる。
ドアが開かれた瞬間、うるさい位の拍手が俺達を包んだ
何事もなく、順調に式が進む中
ふと…空の方に目をやると、オカンと目が合い…慌てて逸らす。
どこまで、俺の事を監視したいんやろ?笑
ここまで来ると、笑えてくる。
(絶対に、思い通りになんてさせてやらねえ…)
そう思って、泣きそうな顔の空の元へ行く事も
この不愉快な空間から逃げ出す事も
必死にこらえた。
引きつってるであろう俺の顔を、恥ずかしそうに見てくる茜でさえ、俺の気持ちを駆り立てる物でしかない。
そんな顔で、俺を見るな。
そんな顔で、俺に触るな。
そんな顔で、微笑むな。
俺って、どこまで自分勝手なんやろ…?
ーー………
そろそろ、お色直しって時に…
バン!!
両手で、目の前のテーブルを力一杯叩き
立ち上がる空。
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