おれの恋



「空!!!すみません…この子ったら、愛想がなくて…」


申し訳なさそうに口を開くオカン。


空「普通に返事しただけやけど?お母さん。クスクス」



あっ…この笑い方…

空が "クスクス" って笑う時は…

大抵、怒ってる。



オ「ちょっと来なさい。」


そう言って、空とオカンが部屋を出て行った。


茜たち家族は、目を丸くして
その光景を見ている…



「そ…空さんも、まだまだ反抗期なんですな〜…」


そもそも、しつこい茜の親のおかげで

空は不機嫌になったんや。

それを…そんな他人行儀に言われたら

腹も立つ。





そんなに…姉弟が似てる事が珍しいんか?

俺達が似てる事が、そんなに楽しいんか?

「ソックリ」だの 「双子」だの

もう…聞き飽きた…。




『そうだ。茜ちゃん?』


「はい?」



スーツのポケットから小さな箱を取り出し

茜の前に置く…。

そう。この間買った指輪。



「いいの…?」


何故か、遠慮がちに聞いてくる茜。


『うん。はめてあげようか?』

ロマンチックの欠片もない言葉を言う。


普通は、何も言わんと…はめてあげる物だと思うし。








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