おれの恋




「光ー!!」


下からオカンの声が聞こえて来た…


『はっ…ご、ごめん…』


一瞬にして現実に戻った俺は…自分のしでかした事の重大さに気付き…体中の血が引いて行くのが分かる



「だ、大丈夫」


はだけた服を直しながら笑うから

とてつもない罪悪感に襲われた…



俺、何で我慢出来ひんのや…?



「早く下行きなよ!呼んでるで」


『あ…うん…。』



軽く髪を整え、何食わぬ顔で下に行く。



(邪魔すんなよ!!)


って、違うか…。

家で…しかも姉弟で…そう言う事をしようとした

俺の、その神経が分からん…。



でも…ほんまにヤバかった…。


オカンの声が聞こえなかったら、どうなってたか考えると…複雑。

それに、もし呼ばないで…いきなり部屋に入って来たらって思うと、もっと怖い…。

オカンなら、いきなり入って来ても不思議じゃないし。



やけど…ここまでしただけでも

満足って言ったら嘘やけど、不満はないかな…?

今までの俺からしたら、信じられない行動力。









「スーツあったやろ?そろそろ、出るから用意しなさい!空にも言っておいて。」



そんなクダラナイ事で呼んだんか!?



俺のドキドキ返せや!!!


なんて、思うだけで…口に出して言われへんけど。


『分かった。』


精一杯クールを装い…普段通りの態度を取る。

内心は、バレてないか…心臓バクバクやけど。




俺に、力があったら

俺に、踏み出せる勇気があったら

今すぐ…無理矢理にでも空を連れて逃げるのに…。



何処までも情けない男







.