キミの隣は特別席Ⅱ


「これ、なんかいいんじゃないの?」

亜紀さんがあたしにシンプルなドレスを見せてくれた。

「おじい様は派手なのが嫌いなの。落ち着いた色やシンプルなのを好みなの。」

「そうなんですか…」

基本あたしが着るのって派手だからなぁ…

「または着物よ。着物だったらあまり文句言わない。」

とアドバイスをくれた。

着物か…成人式の時きたなぁ…


「雅くんがあたしたちのために何品か用意してくれたらしいわ。向こうの部屋に行きましょう。」

お母さんが手招きをした。




着せ替え人形みたいに何回も着替えさせられた。



「次、これね」

雪音ちゃんにドレスを渡された。

まだ着るのぉ…なんでみんな着ないの?

「母さん、そろそろ決めてくれないか?」

優一が助けてくれた。

「そうね…」

「どうしてここまでするんですか?」

前と比べて焦って決めてるような…

「実は、優平さんたちと決めたんだけど…」

「まさか!?」

優一が何かに気が付いたよう…

「そのまさかなんだけど、おじい様にマナちゃんを紹介するのと婚約を発表しようって」

あたしをおじい様に紹介するのはわかる。婚約発表って誰の?

「誰が言い出したんですか!?そっとしておいてください!」

「あたしに怒らないでよ。怒るなら優平さんと優輝を怒ってよ」

お母さんはぷ~っと頬を膨らませた。



「ねぇ、優一。誰が婚約発表するの?」

こそっと聞いてみる。

「はぁ…俺たちに決まってるだろ?」

オレタチ…?


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