「これ、なんかいいんじゃないの?」
亜紀さんがあたしにシンプルなドレスを見せてくれた。
「おじい様は派手なのが嫌いなの。落ち着いた色やシンプルなのを好みなの。」
「そうなんですか…」
基本あたしが着るのって派手だからなぁ…
「または着物よ。着物だったらあまり文句言わない。」
とアドバイスをくれた。
着物か…成人式の時きたなぁ…
「雅くんがあたしたちのために何品か用意してくれたらしいわ。向こうの部屋に行きましょう。」
お母さんが手招きをした。
着せ替え人形みたいに何回も着替えさせられた。
「次、これね」
雪音ちゃんにドレスを渡された。
まだ着るのぉ…なんでみんな着ないの?
「母さん、そろそろ決めてくれないか?」
優一が助けてくれた。
「そうね…」
「どうしてここまでするんですか?」
前と比べて焦って決めてるような…
「実は、優平さんたちと決めたんだけど…」
「まさか!?」
優一が何かに気が付いたよう…
「そのまさかなんだけど、おじい様にマナちゃんを紹介するのと婚約を発表しようって」
あたしをおじい様に紹介するのはわかる。婚約発表って誰の?
「誰が言い出したんですか!?そっとしておいてください!」
「あたしに怒らないでよ。怒るなら優平さんと優輝を怒ってよ」
お母さんはぷ~っと頬を膨らませた。
「ねぇ、優一。誰が婚約発表するの?」
こそっと聞いてみる。
「はぁ…俺たちに決まってるだろ?」
オレタチ…?
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