「優一、最初に謝っとく。」

父さんが口を開いた。

「何を謝っとくんだよ?」

「あの北杜のお見合いと婚約の話、あれ嘘なんだ。」

「はぁ!?」

「北杜の会長さんとお嬢さんの許可を得ている。」

なんでも北杜の会長と父さんが友達らしい

「なんで?そんなことしたんですか?」

困惑する俺に兄さんが口を開いた。

「優一とマナちゃんを試すためだよ。後、なかなか優一が父さんたちにマナちゃんを紹介しないから」

父さんたちに紹介って、全然家にいない人たちにどうやって紹介しろって言うんだよ?

「優輝が言う通りなんだけど、見事に優一たち別れたな」

見事にって…俺は父さんたちの策略にはまって別れてしまったってことか?


「でも、優一…お前にはわかってもらいたい。春沢家の男の女になるってことはそれ相応の覚悟が必要だ。時には支え、支えられる関係になりなさい。」

「優一ならできるわよ!」

母さんがにっこりと微笑んだ。




「さ、明日の朝、早いんだ。もう寝なさい!」

父さんが立ちあがった。

「優一は明日の朝8時にここに来なさい」

と母さんが言う。

「何かあるんですか?」

母さんがにっこりと笑う。

「秘密よ。」




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