あいの手紙




放課後になって
部室に行ってもその話題で一杯だった。


どうやら、今朝早く教室に来た女の子達がその手紙が落ちているのに気がついて、誰のだろうと話していたら、数分遅れで来た川瀬優吾が「おれのだ。」と言って持って行ったらしい。




ってことは手紙の中の優吾くんってのはやっぱり彼のことだ。


「ねぇ、ゆっこの友達のコズエちゃんって川瀬君と仲いいじゃん!!相手の子誰とか知らないの!?」



興味津々な目で部長の香奈が聞いてきた。



「うんー。特に知ってる感じじゃなかったけど…」



曖昧に答えてしまう。そういえば、コズエなら知ってるのかな?達哉君情報とかあったりして…



首を捻ってみても答えが出てこないのはわかってるけど、傾げずにはいらるなかった。



「あぁっ!!明日提出の数学のレポート終わってないよぉ~…」


そう声を上げたのはおっとり系の美月で、数学のプリントを前に今にも泣き出しそうな顔をしていた。



「あーぁ、知らないよぉ?今日美月ったら休み時間の間ずっと川瀬君の話で盛り上がってたからー…あたしもう提出しちゃったから持ってないよ?」


香奈が苦笑いを浮かべて半分涙目の美月をたしなめている。



「あたし持ってるよ!」


私も明日の提出だったので今日の授業時間と休み時間を使ってレポートを完成させていた。



「うそっ!?ゆっこ天使!!
神さまぁ~!」


既に完全に泣き出してしまっている美月のためにかばんの中にしまったはずのレポートを探すが姿が見当たらない。


「教室置いて来ちゃったかもだから探してくるね。」


私はかばんの捜索も半ばに部室から教室へと向かった。


部室を出る際、後ろから美月の『ゆっこ、あ゛りがどう゛~』という泣き声が聞こえた。