あいの手紙




「高校入学以来、一切の色恋沙汰の浮かび上がらない学園のイケメン川瀬優吾が(おそらく)肌身離さず、あんな小さな頃に貰ったであろう手紙を今でも大切に持ってるなんて!!こりゃ、ラブに決まってるでしょ!!」



びしっと決めるコズエはいつも以上に勇ましくみえる。



「もう学校中の皆が手紙書いた子を探そうって血相変えて走り回ってるわよ。」



そんな話を聞いている間も、クラス中から廊下から川瀬優吾の名前が飛び交っていて、あながちコズエの大袈裟具合もウソじゃないんだと思えた。



「ゆっこも相手とか気になっちゃう?」



ふとコズエを見るとニヤニヤと口元を緩ませながら私のことを見てくる。

「べっ別に!!なんで私が気にするのよっ」


そういうとタイミングよく担任が教室の前ドアから入って来た。



コズエは意味深にふーんとニヤつきながら、話はまた後で、と自分の机に戻っていった。



なんで、私が川瀬優吾の話を気にしなきゃいけないのよっ!!



そりゃ、全く気にならないわけじゃないけど…




さっきのコズエの言い方といい、昨日の今日っていうこともあって

私の頭の中から、なかなか彼のことが出ていかず、気がついたらどうしようもなく気になって仕方のない自分がいた。