次の日の朝、
教室に入るとざわざわと騒がしく、教室の真ん中に群がるように女の子のかたまりが出来ていた。
なんだろ、と疑問に思っていると、その輪の中からコズエが飛び出してきて私を手招いた。
「どうしたの?」
「いやっ!!それがね…」
興奮気味に話し出したコズエは目を爛々に輝かせていかにも楽しそうなおもちゃを見つけた顔だった。
「要は、"ゆうごくん"と書いてあった手紙が落ちてたってだけでしょ?」
「!!だけでしょって…!!」
口をあんぐりと開け、目を大きく開いたままでフリーズしてしまったコズエ。
そんなに驚かなくたって…ねぇ。
「ゆっこ!!あたしの言ったことちゃんと理解できてるっ!?これは今年始まって以来の大スキャンダルだよ!!?」
興奮で声を大にしているコズエに周りの男子も若干顔が引き攣っているようにみえる。
コズエがこんなに騒いでるのは、何を隠そう、"ゆうごくん"とやらのことがどうやらあのイケメン川瀬優吾で、その内容が、「ゆうごくん大好き 結婚しようね」と書かれたものだったということ。
「でもだって、それって子供の字で書いてあったんでしょ?いくらなんでも、そこまで大騒ぎしなくたっ…「甘い!!」
私の言葉は詰め寄るコズエによって簡単に掻き消されてしまった。

