「このまま、 さぼらない?」 頭のすぐ上から聞こえてくる声に 昨日のあの態勢がフラッシュバックしてきた。 しっかりと腰に回された彼の腕に私の動きは完全に封じ込まれていた。 こんな状況じゃなきゃ、 彼からのお誘いじゃなきゃ、 いつもの 私なら意地でも授業に戻っていただろう。 けれど、今はそんなこと、と一瞬で忘れてしまうくらいちっぽけに思えた。 だからコズエ、ごめんなさい。 「…うん。さぼっちゃおっかな…」 迷う事なく、 でも少し後ろめたさのこもった答えだった。