誰もいない中庭。
私たちがここにいるのを知るのは、この桜の木だけ。
だって今は昼休みも終わって5時間目。
クラスメートの皆は、教室で授業を受けている。
みんな仲良く、古文のこぶじぃの話をノンノンと・・・
って!!
「あぁっ!!
授業始まってるー!」
いまさらになって気付く。
何やってんだ自分!
と後悔しても過ぎてしまったものは戻せない。
授業をサボってしまうなんて!
コズエ様がお怒りだぁー!!
きっとクラスに戻ったら反逆罪で島流しにあってしまう!
そのくらいコズエの
勉強への熱意はすごかった。
「急いで戻らなくちゃ!!
ほらっ川瀬くんもっ!」
そう急かしたのに
私の体は無情にも、
目的の教室とは逆方向へ強い力で引き戻された。

