気がついたら家だった。
天窓から覗く三日月がニンマリと笑う口のようで…
…なんでニンマリ…
思わず布団に突っ伏した。
どうしてだか、私の心は踊っていた。
彼の夕日に照らされたはにかんだ笑顔が頭から離れない。
今日はじめて話したというのに…
こんなにも頭から離れないのは、みんなの憧れの存在である川瀬優吾と話せたから?
それとも…
これが運命だとでも言うのだろうか…
しかし時間が経つにつれてそんなことを考えている自分が恥ずかしくなった。
所詮、想像。妄想の世界。
世の中そんなに甘くない。
たとえ、これが運命だと思えたとしても、私なんかが学園のアイドルに相手にされるわけがない。
そう思って心を落ち着けた。
けれど、そう簡単には頭の中から彼の笑顔は消えてくれなくて…。
今日だけ、
もう少しだけ、
彼のあの笑顔を見れたのは私だけというこの優越感に浸っていたかった。

