ピピピッピピ…



「うるさいっ」


耳に障る煩わしい音を退けて寝返りをうった。



バシッと叩かれた目覚まし時計は無惨にも主人を起こすという使命を全うできずに、ベッドの下へと転がり落ちている。



「ほらっいつまで寝てるの?もう起きる時間でしょ!」


布団を剥ぎ取られてやっと、私の重い瞼は持ち上がった。



「うん…起きる」




窓の外を見ると電線に停まった2羽のスズメが仲良さそうに朝の挨拶を交わしている。






夢かぁー…



小さい頃の私と
"たっちゃん"。



そうだった。



"たちばな ゆうごくん"


彼がたっちゃん。


"たちばな"だから、
"たっちゃん"



思い出した。



私の宝物をくれたのが
たっちゃんだったのだ。