チリンチリンと 軽快な音を鳴らして近所にすむおじさんが、私たちに挨拶をして家の前を自転車で通りすぎた。 「あ、それじゃ俺そろそろ帰ります。」 思い立ったように彼はお母さんにぺこりと頭を下げると、そのまま沈みゆく夕日に背を向けてスタスタと歩いて行ってしまった。 「それじゃあねーゆうご君ーお母さんによろしく~!!」 彼の背中を追うようにかけられたお母さんの言葉に彼は一度こちらを少し振り返って、 ちょっぴりお辞儀をしてまた、すぐに前を向いて去っていった。