この華麗に展開されてゆく会話にただ黙って見ていられる訳もなく、
「あの…ちょっといいですか?」
控え目に出て止めてみた。
やっと私がいることを思い出したのか二人の会話がぴたっと止まる。
かとおもいきや麻結は
その怒りの矛先を変えて
ほらっ開ける!
と今度は私をせっつく始末。
さっきまで彼氏と言い争っていたのに。
きっともうどっちに怒ってるんだか、わかってないだろう。
「俺も開けた方がいいと思うよ。」
隣に立つ広人さんは麻結に向ける意地悪顔とはうってかわって最高のスマイルを見せる。
そ、その顔反則だ…
たとえ彼氏がいたとしても、どうしてこう、いい男に乙女はときめくのか…
永遠の謎だね。
そんな効果も合わさったことで頑なに拒んでいた封を
麻結と広人さんに促されるがまま
そっと剥がした。
「何が入ってたの?」
気になってしょうがなかったのか麻結が小首を傾げて聞いてくる。
中身は白い便箋に
走り書きされた文字。
それと、整理券…?
ピンクの紙に"花火大会会場整理券"
と書かれた一枚の紙が入っていた。

