生活している環境がそもそも違うんだから、しょうがないけど…
楽しそうに話す涼が
私の知らない世界にいる涼で、
どこか遠く感じてしまって…
なんだか寂しい。
最近はそんな風に思ってばかりで
目の前にいる、この瞬間を楽しめずにいた。
「涼…ごめんね。なんだかテスト勉強疲れで最近寝不足なんだ。」
そんなことないのに。
口からするりとウソがでる。
「ふーん…大変だね。」
私のウソに気付いてるのかいないのか、素っ気ない返事だった。
「夏休み!今年はどうしよっか!!涼、今年は部活もないし、大学も決まってるからいっぱい遊べるね!!」
取り繕うように精一杯、明るく聞いた。
「…俺、海行きたい」
相変わらず素っ気ないけど、よく見るとちょっと口元が緩んでほっぺたが赤い。
「そうだね!じゃあ行こっか。」
私が笑顔でこう答えると、まだ許してないんだからなって態度でいようとしてるのに、嬉しさに抗いきれなかったみたいで
笑顔で「絶対だよ?」
って小指を差し出してきた。
よかった。
機嫌が治ったみたい。
私はもう一度微笑み返し、「うん、絶対」と言って涼の小指に自分の小指を絡ませた。

