学校に残っているのは部活動をしている人だけで、教室棟の方は人がほとんどおらず、静かだった。
自分の教室の前に着くと、中から人の声が聞こえてきたのでドアに差し掛かっていた手が止まった。
こんな時間に誰が残っているんだろ?
そっと声の主を確かめようと耳を澄ましていると、
「…~~~が好きです!」
耳を近づけていた私は思わずドアから飛びのいた。
こ、これってやつはまさかのまさかの…
コクハクってやつですかっ!?
居てはいけない現場に居合わせてしまったが、突然のことにおどろきすぎて体が固まって動けない。
なんてバットタイミング…
音をたてないようにそーっとその場を立ち去ろうと一歩踏み出しかけたとき、教室のドアが勢いよく開き中から女の子が俯いたまま飛び出してきた。
その娘に
ぶつからないように飛びのけるとそこからちょうど教室の中が見えて、夕日の逆光で顔が見えないが窓際に男の子が立っているのがわかった。
どーやら、この展開的に女の子の告白断ったな?
この状況に居合わせてしまったことの気まずさに、教室に入ろうかためらわれたが、時間もないのであくまでもまるで何も知らないという風を装って教室に踏み込んだ。

