私の夢と、彼の事情

「おかえり」


その声の主は、顔を見なくてもすぐに
分かる。

私の、母親だ。


「ただいま」


母は、私を笑顔で迎え入れた後、すぐに
彼へと視線を移す。


「あら、可愛いわね!

 本当に捨て猫なの? 随分とキレイ
 だけど」


次の瞬間、母は私の所まで来ると灰色の
彼の頭をそっと撫でた。

彼は小さい声で「ニャー」と鳴くと、
ゴロゴロと喉を鳴らし、母にすり寄って
いる。

それに気をよくしたのか、母はしばらく
灰色の毛並みを撫でていた。