ふたつの指輪

「おまえは黙ってろ」


あ、やっぱり?


頭ごなしに言われて、あたしは思わず首を縮める。




赤信号で停止すると、尊さんは後部座席を振り返った。


その精悍な横顔は、ひどく真剣だった。



「いいか。よく聞け。

この子、金に困った親に風俗で働かされかけたんだ」


一語一句、はっきりと。



「………」


梨恵さんは、はっと息を呑んで、それきり黙り込んだ。


梨恵さんの視線が、ナナメ下を泳ぐ。


「これでわかったろ。

黙ってこいつに付き添ってやれ」


「……」

梨恵さんは、もう何も言わなかった。