ふたつの指輪

「……何やってんだ」


あきれた声が横からする。


「これ以上引っ張れないの」

「……」


尊さんは、珍獣でも見るような目つきであたしを見てる。


「アホか、ゆっくり引っ張れ」

「ゆっくり?」


いったん力を緩めて、ゆっくり引っ張りなおすと。


するする……


シートベルトはあっさり引き出せた。


「あれ?ほんとだ」


「……おまえ、まさかシートベルトしたことないのか?」

「……うん」

「未開人かおまえは」


肩をふるわせて、くっくっと笑い出す尊さんに、あたしは唇を尖らせた。



ふん。


いいもん。



……あ、でも、こんな笑い方してるの初めて見たかも。