ふたつの指輪

”俺は瞳衣が欲しかった”


それを完全に否定できるか?



できないなら、単なる偽善者だ。


このままうまくいっても、のちのちの禍根を残すだけじゃないか。




実際俺は、いつ瞳衣に手を出してもおかしくなかった。

ただブレーキになっていたのは、”男”の存在だった。



それが、あんな男だと判明した以上、俺を止めるものは何もなかったから。





俺は、動揺したまま部屋を飛び出していた。



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ひと晩、会社の仮眠室で過ごす羽目になった俺は、次の日は早めに帰るつもりが、何かと用事があって仕事が長引いてしまい。


帰ったのは夜中近かった。