ふたつの指輪

「まぁな、オレも別にデキた人間じゃなかったし、万引きでとっ捕まるくらいのことはあったからさ。

そう言われるのも当然っちゃ当然だったかもしれないけどな。

それでも、それまでまぁフツーに良くしてくれてた人が、手のひらを返したような態度に出るのは参ったな。

もう誰も信じられなくなったよ」



「……」



あたしは何も言えずに、ただ魁人くんの細い体をぎゅっと抱きしめた。


何も言ってあげられない自分がもどかしかった。



(尊さんだったら――)


(尊さんだったら、何て言うかな?)


あたしは思わず、水玉のパジャマの胸元をお守りのようにぎゅっと握りしめてた。


(お願い、尊さん、力を貸して――)



魁人くんはふと思いついたように口を開いた。


「……瞳衣、おまえさ」

「うん」

「オレが初めてだったろ?」

「……」


(いきなり何よ……)


あたしは思わず顔を赤らめて、掛け布団に顔半分もぐりこんだ。