ふたつの指輪

「オレ……瞳衣に何ひとつ本当のこと言ってなかった。


D大3年なんて、真っ赤なウソっぱちだよ。

オレ高校中退してこの世界に入って――この世界しか知らないんだ。

だから、女の扱い方も……ホストとしての扱い方しか、知らない。


スキーに行ったってのもウソだし、

ペンションの電話番号なんてもちろん口からでまかせだし……


実家に住んでるなんてのも、もちろんウソだ。

さっき瞳衣が寝てた部屋がオレの部屋。


実家なんて、15のときに家出したきりで、親もオレがどこで何をしてるかなんて、知りやしないよ。



でも、ただ一つ、ほんとのことを言ったのは――」




魁人くんは、そこで言葉に詰まった。



薄色の瞳が、すがるようにあたしにじっと注がれた。




二人の視線が、二本の糸のように絡み合う。