ふたつの指輪

「あたしね……魁人くんと普通に話してるのがうれしいの。

あたし、作られた笑顔に守られた魁人くんじゃなくて、

ずっと魁人くんそのものを知りたかったんだよ……」

「……」

魁人くんの薄い色の瞳が、少し伏せられた。



なぜこの人にこんなに惹かれたのかわからない。


魁人くんは口先ではきれいごとを言っていたけど、最初から何を考えてるかわかんなくて、いつものらりくらりとはぐらかしてばかりいて。


あたしを見てないのは、どこかでわかってたのに。




なのに、あたしはこの人を好きになってた。


時折見せる、何か手に入らないものを追い求めているような遠い目に、ぎゅっと魂をつかまれるような気がしてた。



何をしても満たされないのに、満たしてくれる何かを追い求めてる。


何を求めてるのか、自分でも知らないままに。




そんな、心にぽっかり穴が開いたみたいな寂しい孤独な魂に、あたしの孤独な魂が強烈に惹かれたのかもしれないね。