ふたつの指輪

尊さんは眉間に深いしわを刻んで黙り込んで――


突然、はぁ……と大きなため息をついた。


「やっぱりそうか……」

「やっぱりって、何が?」


無邪気に聞くあたしに、頭を抱え込んだ尊さんは、黙り込んでしまって何も言わない。



重い沈黙がどっぷりと部屋を支配して。



(え、何だろ。

あたし何かまずいことでも言ったかな?)



しばらく、うつむいて黙り込む尊さんをこっそり盗み見てたあたしは。


勇気を出して、ソファの上におしりをトントン…と滑らせて、尊さんに近寄った。



横からうつ向いた顔を覗き込む。


「尊……さん?」



尊さんは、あたしに目を向けないまま、静かに言った。