「ねぇ、何なの?」


あたしはじっと返答を待ったけど、尊さんはそれ以上何も言わなかった。



何なのよ。


いちいち、お父さんみたいに――



ちょっぴりプリプリしつつ、あたしは今日マスターにもらったコーヒー豆のことを思い出した。


酸味が少なくて、すごくおいしい豆。

あたしが絶賛したら、喜んで、分けてくれたんだった。


「そうそう、おいしいコーヒー豆もらったの。飲んでみてよ」


返事を待たずにあたしは立ち上がって、コーヒーを淹れにキッチンに行った。




何となく、何かしていないと落ち着かなかったから。