ふたつの指輪

いつもなら、さっさとシートベルト締めろバカ、とか言いそうなもんなのに。


尊さんはむっつりと黙り込んだままハンドルを握ってた。



(あれ?機嫌悪い?)


こっそり見上げた横顔は、無表情。




もしかして、もしかしてだけど……


魁人くんが帰ってきたから、不機嫌なのかな?


あたしの考えすぎ?




部屋に戻ると、尊さんはソファにどかっと体重を預けてビール缶をプシュッと言わせた。


そのまま無言で、じっとテーブルをみつめてる。



(どうしたんだろ)


何となく居心地が悪いままに、あたしもソファの隅にためらいがちに腰を下ろした。



奇妙な長い沈黙の後に。

尊さんが重い口を開いた。