ふたつの指輪

”今のあたし”の精神状態と、過去のさまざまなママの言動が――


いくつもの糸でスパッとつながっていく。




怒りに支配されたママにぶたれても、「きっと自分が悪かったに違いない」って思い込もうとしてたあたし。


ママ自身が子どもみたいなものだったから、あたしはお手本にするものが何もなかった。

逆に、あたしが親みたいに、ママの世話を焼いてた。

酔っぱらってお父さんの悪口をさんざんわめいてたときも、あたしはただ必死でなだめてたっけ。


でもそんな大人の真似はうまくいくわけもなく。

何もできない自分を常に嘆いてた。



「瞳衣は体育だけはできるんじゃないかと思ったけど、体育もダメなのね」

学校の成績表を見て嘆くママに、穴に入りたいくらいの気分になったのを思い出す。

ママの期待に応えられないあたし。ダメなあたし。

もっと運動が出来ればよかったのに。