ふたつの指輪

「一緒に行けば良かったのに」

「……あたし、高校があったから」

「え?あんた高校生か?」



しまった。


ここ、高校生禁止なのに、思わず言っちゃった。



「いえあの、もうあと卒業式だけですけど」

「ったく、高校生がこんなところで何やってんだよ。

親が知ったら泣くぞ」



……ところがそうでもないんだけどね。


あたしは内心ひとりごちた。




「ま、いいや。

まだ時間あるし、俺は本でも読ませてもらう。

……あんたも好きにしな」


そう言って、耳にポケットから出したイヤホンを付けた。