車のトランクに
思い出達を詰め込んで

これからわたしは
何処へ行くのだろう

心の行き先は 未定

その答えが 何処に在るのか

探し当てる 旅

独り旅


「バタン」

車のドアを閉め

心のドアに鍵を掛け

振り向かず 町を出た


さよなら 夢色の時


「何処に暮らしても、元気で居てね…」

お婆ちゃんの 震える声と手の温もり

亡き祖母を重ね 慕った
心優しき 隣人


泣かないで お婆ちゃん
ほら モッコウバラが茎を伸ばし

強く 強く

生きようとしている

夏の頃

白いカーポートは 満開の黄色


モッコウバラは

わたしの愛した花


満開の頃 その人は居ない

魅せて欲しい

此処に 生きたと言う証

ありがとう

お元気で

頑張って下さい

胸に染みる 激励の言葉
同志と呼び合った 先生
その傍らで 微笑む子供
手渡された 白い封筒

最期の時

切ない時

お別れに

優しい言葉と餞別