プログラム

君の出番に
ピンクのアンダーライン
まるで 我がことのように

ワクワクしながら 噛み締める

母の喜び


思い出は セピア色

わたしは 走っていた

伝わる

リレーの熱狂と興奮

近付いて来る ゴール

華やかな 歓声

テープが切れる瞬間

母の笑顔を探した


ファインダーに 君を追う

シャッターチャンスを狙い

密かに息を飲む

「パシャ、パシャ。」

わたしは カメラマン

君だけの 専属カメラマン


あなたが やって来る

一足遅れの 運動会

小さな君の手を取り
フォークダンス

レンズの向こう 照れ笑い

やさしい風が 吹いていた

あの日のポエム


此処に一枚の家族写真

最後の運動会…

君たちは 知る由も無く
大人は ズルイ、エゴイスト


風さえも 知らん顔

やさしい時に抱かれて

ずっと このまま

家族で居たい

一緒に居たい

一時の夢に寄り添う


穏やかで 切ない

オレンジ色に染める
秋の陽

最後の家族写真