散歩の途中で出会った小さなキミ

川の流れに添って イッチニ、イッチニ

一生懸命 生きていたキミを

わたしは糸も簡単に ヒョイと持ち上げた


まだ 赤ちゃんのキミは
手足をバタバタさせて

それが わたしには

とても 愛しくて 切なくて

「ゴメンネ。」そう呟いて
わたしは キミを連れ去った


水槽の中のキミ

「チビ。」と呼ぶと

小さな頭をニョッコと出して

円らな瞳を パッチ、パッチ

「早くここから出してよ。」

「ゴメンネ、キミはもう家族なんだ。」

そんな心の会話を楽しむ
一枚の写真の中

キミと遊ぶ 幼い息子

テーブルの上には

満開のかすみ草


ずっと一緒だと信じていた

あの日 ベランダから落ちたキミ

まるで 一瞬の出来事だった

わたしは 思わず息を飲んだ


わたしのせい? わたしのせいだ

もっとしっかりキミを観ていれば…

後悔色の日々が続いた


草むらを必死で探すわたし

キミは その小さなカラダで

自由気ままな旅に出た


緩やかな時の流れに

キミを想い出してみる

サヨウナラ

やさしい時を アリガトウ