ベビーカーに 君の妹を乗せて歩く

馴染みの散歩コース

長く緩い坂道をゆっくりと登る

古びた小さな家並みが
輝いて見える 雨上がりの午後


ふと、足を止め

川の流れに耳を澄ますと
何処からか 赤とんぼ

「ほら、とんぼの赤ちゃん、ちっちゃいね。」

母の声掛けにも動じない
ちっちゃいけれど、ただ者ではない

いつの日か 大物になるだろう

頼もしい 君の妹君(いもうとぎみ)


いつしか、とんぼは群れをなし

母娘を包んでいた

じっと見つめる その小さな瞳に

赤ちゃんとんぼの大群は
どんな風に映っていたの?