ドック、ドック、ドック…

ああ、確かに聞こえる

命の音が

君が必死に伝えている

生きている証を


「赤ちゃん、元気に育ってますよ。」

先生が、指差すモニター
「ほら、ここが心臓で、ここに目、鼻、口。これが、手と足です。おっ、今、キックしましたね。」

先生の落ち着いた声と柔らかな空気

モニターの中の小さな神秘に

わたしは 心捕われた


ああ、生きている 生命の証

君は その小さな体の全てで伝えている

君の心音が大きく小さくなって

わたしの心に響いてくる
ドック、ドックと…


いつしか君の心音は わたしの心音と重なって

神秘の二重奏となる