「沙織、おいで、部屋の中でゆっくり休みましょう」 お母さんが、そう言って、あたしの背中に手を当てて 家の中に上がるように促した。 あたしも、「うん…」と言って、靴を脱ごうとしたけど… 先生の車のエンジンが鳴る音が聞こえてきた。 「ごめん、お母さん、すぐに戻ってくる。あたしに先生に、話があるの、もう一度、お礼、言ってくる。そこまでだから、ごめん」 そう言って、家を飛び出した。