誠司は返す言葉がなかった。
「とにかく、そういうことで。」
半ば強引に結論を出した。
「わかった。そういうことにしましょ。」
由美は誠司が後ろ頭をかいているのに気付いた。
『何か隠してる…?』
恥ずかしそうなその表情にこの前の真理子との会話を思い出していた。
『まさか…ね。』
誠司の誕生日。由美は研究室を早めに出て誠司の誕生日プレゼントを取りに行った。誠司は自分でネクタイを選べないと言うのでブランド物のネクタイにした。
「ちょっと派手めだけどいいよね。」
誠司が一瞬驚きそうだがそれを押しきってやろうと考えていた。
自分の買い物を済ませて時計を見ると待ち合わせの7時近くになっていた。
「そろそろ行かないと…」
と思った時、由美の携帯が鳴った。着信を見ると誠司からだった。
「もしもし。」
「あっ、由美。ごめん。部活のミーティングが押しちゃって今出たんだ。」
「そうなの?」
熱心な誠司らしいなと思う。
「悪いけど先、店に入っててくれないか?俺、ちょっと一つだけ寄らないと行けない所があってさ。」
「いいよ。じゃあ早く来てね。」
「ごめんな。すぐ行くから。」
そう言って携帯を切る。ふと空を見ると雲が空を覆っていた。
由美が店に入ると紳士的な白髪のウェイターが出迎えた。あまり経験したことのないことだったので一瞬、たじろいてしまった。
「いらっしゃいませ。ご予約名をよろしいでしょうか?」
静かな口調だ。由美は呼吸を整え、
「桑山で予約した者ですが。」
「桑山様ですね。お待ちしておりました。確か…二名でご予約いただいたかと思いますが。」
「あっ、後から来ますので。大丈夫ですか…?」
由美の言葉にウェイターはニコッと微笑む。
「かしこまりました。お席までご案内いたします。」
由美はウェイターの後ろについて店内に入る。店の中はさほど広くないものの高級感が漂う調度品、そして何処からかクラシックが流れる。
『何か場違いかも…』
そんなことを考えながらも席まで歩いていった。
「とにかく、そういうことで。」
半ば強引に結論を出した。
「わかった。そういうことにしましょ。」
由美は誠司が後ろ頭をかいているのに気付いた。
『何か隠してる…?』
恥ずかしそうなその表情にこの前の真理子との会話を思い出していた。
『まさか…ね。』
誠司の誕生日。由美は研究室を早めに出て誠司の誕生日プレゼントを取りに行った。誠司は自分でネクタイを選べないと言うのでブランド物のネクタイにした。
「ちょっと派手めだけどいいよね。」
誠司が一瞬驚きそうだがそれを押しきってやろうと考えていた。
自分の買い物を済ませて時計を見ると待ち合わせの7時近くになっていた。
「そろそろ行かないと…」
と思った時、由美の携帯が鳴った。着信を見ると誠司からだった。
「もしもし。」
「あっ、由美。ごめん。部活のミーティングが押しちゃって今出たんだ。」
「そうなの?」
熱心な誠司らしいなと思う。
「悪いけど先、店に入っててくれないか?俺、ちょっと一つだけ寄らないと行けない所があってさ。」
「いいよ。じゃあ早く来てね。」
「ごめんな。すぐ行くから。」
そう言って携帯を切る。ふと空を見ると雲が空を覆っていた。
由美が店に入ると紳士的な白髪のウェイターが出迎えた。あまり経験したことのないことだったので一瞬、たじろいてしまった。
「いらっしゃいませ。ご予約名をよろしいでしょうか?」
静かな口調だ。由美は呼吸を整え、
「桑山で予約した者ですが。」
「桑山様ですね。お待ちしておりました。確か…二名でご予約いただいたかと思いますが。」
「あっ、後から来ますので。大丈夫ですか…?」
由美の言葉にウェイターはニコッと微笑む。
「かしこまりました。お席までご案内いたします。」
由美はウェイターの後ろについて店内に入る。店の中はさほど広くないものの高級感が漂う調度品、そして何処からかクラシックが流れる。
『何か場違いかも…』
そんなことを考えながらも席まで歩いていった。
