髪もセットされて出番を待つだけになった俺は窮屈な視線から逃げるように部屋を出た。 ロビーから下を見下ろせばシェイラのファンが、ぞろぞろと群れを作り集まっている。 ―…シェイラの裏の顔を見たらファンもがっかりだな。 あんなに透き通った美しい声を聴かせる歌姫が、実はちょっと痛い子なんてファンには想像もつかねぇだろ… 「悠斗、先にステージで待ってるね♪」 何人ものスタッフを従えエレベーターに乗り込むシェイラを見送って自分も数分後には同じステージに自分も立つと考えると鳥肌が立った。