「悠斗君?」 悪気があったワケじゃない。 俺達、家族の深い溝や事情を正木が知る由もないんだ… 黙った俺を心配そうに見て首を傾げる正木。 「あぁ…俺の家族…用事があるから先に行くわ」 「え?…うん、じゃぁね?」 軽く手を振り正木を置いて店を後にした。 あんな、偽物の笑顔を作り愛してもいない音楽を語る家族なんか見たくない。 ドーナツを買いに行かずにただ、早足でシェイラの待つ家に急いだ。