ガキを学校に見送ると、晩飯の用意も洗濯も済ませて後は出かければいいだけ。 窓を開けると吹き込む気持ちのいい風に眠くなって来る。 「…ちはる」 今日、会いに行くよ… 悪いけどシェイラも一緒に… 俺の中でずっと変わらない笑顔を浮かべる正木に話しかけてみる。 …―返事なんかくれるはずはない。 …―名前を呼んでもくれない。 あの柔らかい髪も拗ねた顔も… 全部、大事だったのに。