しばらくすると歓声が上がりステージにシェイラの姿が見えると誰もが手を掲げはしゃぐ。 「すげぇな…」 ―…無名の俺が出て行ってもいいのか? 空きカンとか投げられたりしねぇよなぁ… マイクの前に立つシェイラが深く深呼吸をして歌い始めると 「じゃあ、行きましょうか?」 マネージャーがニッコリと笑い俺の背中をポンッと叩いた。 「……」 何も返事をせず自分の指を見つめ強く手を握った。