振り返る日々

Ｈ大学は外国語学部、経済情報学部、法学部の三つの学部で編成されていた。
外国語学部はさらに日本語学科、ドイツ語学科、中国語学科、英語学科と４つの学部に別れ、それぞれ４０人程のクラス分けをされていた。他の学科と違い、英語学科は人数が多い為、入学前に行われるオリエンテーリングでドイツ語、フランス語、中国語の中から受講を希望する第二外国語を選択し、それに基づいてクラスが決められている。
私はセルジュ、シャーロットのゲンズブール父娘が好きだから、と言う理由でフランス語を選択した。
授業はそのフランス語を含めた必須の語学科目、他のクラスとも合同で受ける選択語学科目、他学部の生徒、他学年の生徒も一緒に受ける選択一般科目に分かれ、毎年始めに必須科目と選択科目を組み合わせて、４年間で必要な単位を習得する。
私は何をどうすれば良いのかわからず
適当に科目を選んでいった。
しかし、ネイティブの先生の授業、シャーロック・ホームズや８０日間世界一周の原本を使った授業、
一般科目での日本文学や宗教の歴史などの講義は面白く、
私は一つ授業を受ける度に自分が知識人へと近付いていくような気がして嬉しかったものだ。
入学してから一月も過ぎると、私にも固定の仲間が出来た。
もちろん順子は出会ったその日に意気投合した。
その３日後位には必須授業で私と順子の前の席に座った二人、神戸から通学しているクールな性格のリンちゃん、明石から来たサブカルに造詣の深いニッシー、
そしてその数日後には福井から来たモデルのように綺麗なゆりっぺが仲間に加わった。
３人はどちらかと言うと順子に魅せられたようだった。
確かに順子は明るくざっくばらんだが
さりげない優しさも持ち合わせていて
一緒に居てとても心地よい女性だった。